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ディレクター実践ノウハウ「企画書の作成」

Posted by Takanori Shimizu

どうも、ディレクターのtknrです。
これまでWebディレクターとして約8年、コーポレート室スタッフとしてHR/PR担当を約2年、ライブ配信関連サービスのセールスチームとして約2年、そして現在ではビジネス開発業務と兼務しつつチケット販売型ライブ配信プラットフォーム「STREAM TICKET」(ストチケ)のマネージャーを担当させていただいています。音楽コンサート、舞台・演劇、トークイベント、セミナーまで、誰でも今すぐイベントのライブ配信が売れる「ストチケ」です! ぜひ!!

さて、そんななかでも、やはり自分の根っこは「ディレクター」だなぁと、会議や提案のシーンで感じることがしばしば。その気づきを記録しておきたい!と思い立って【連載】をうたい、書き始めたのが、2022年3月。合間に別記事を書いていたとはいえ、もう1年半も経ってしまった...それじゃあ連載になってないぞと社内の誰からも指摘や要望が無かったことに寂しさを感じつつ、今回は久しぶりに第二回を書きます。

ディレクターの半分は"プランナー"で出来ている

広告業界やクリエイティブ職種では「プランナー」という専属の肩書をお持ちの方々もいらっしゃいますが、Web業界ではあまり見かけません。Webサイト制作やサービス開発において、企画業務の中心はディレクターが担うことが多いです。Webプロモーションであれば「コンセプト立案」「企画書作成」「コピーライティング」「広告企画」などの各工程で主導的にアイデアを出して、書類をつくり、アウトプットしていく役回りです。

プランニングの作法

僕自身、キャリアの当初は主に広告宣伝の実務を経験させてもらいました。その後はどちらかというとソリューション提案のような、コンサルタント的な考え方が求められるお仕事も担当してきました。

「広告的」「コンサル的」。プランニングにもざっくり2つの作法があるように思います。
前者のゴールは「世界初」「目を引く」「シズル感のある」そのような企画を生み出そうとするのに対して、後者は「把握」「分析」「予想」といった「情報」をロジカルに組み立てて仮説を生み出す企画工程でしょうか。

提案先の業種やプロジェクトの内容、自身の立ち位置によって、「広告的」「コンサル的」それぞれのアプローチを織り交ぜて、構成をつくり、さらにそこに自社ならではのエッセンスを加えていく。僕はそのようなプロセスで企画書づくりを進めています。

その1:まずは圧倒的に「詳しくなる」

企画書作成の最初のフェーズ、まずは学習です。
提案先について、プロジェクトについて、様々な情報がしっかりと自分のなかで「血肉」となるまで、時間の限り、調べるようにしています。

経営陣のキャリアまでたどる

当然まずは提案先となる企業のホームページをしっかりと読み込みます。

事業内容や社史などの事実確認だけでなく、「経営陣のプロフィール」(氏名で検索して経歴を辿ってみたり)を学ぶように心がけています。企業の状態だけではなく、経営者の方々がどのようなキャリアを経て経営にあたっているのか、バックグラウンドを知ることで、理解が深まります。SNSでのアクティビティやメディアでのインタビュー記事も参考になりますね。あと、個人的には、勝手ながらその提案先の皆さんに親近感をみつけるようにしています(あ、この部長さんの前職の会社とは仕事をしたことがあるー!とか)。アイデアは有機的な感情から生まれるものです。

広報から企業のスタンスを知る

企業の公式SNSやオウンドメディアでは、その企業がどのような「人格」としてユーザーとコミュニケーションをしているか、そのスタンスを見て感じ取ることができます。

そこに書いてあるニュースやリリースを知る、という側面だけではなく、情報発信の頻度、文体、装飾から、企業のイメージを掴むことができます。個人と相対するときに「どんな服装をしているか」「どんな話し方をするか」で雰囲気(オーラ)を認知するような話です。

決算報告がいちばん大事

上場企業であれば大変助かります。なぜなら「IR情報」が明らかにされているからです!
決算報告、今後の計画、出資関係、人事情報がまるっとひと目で分かる! 「今回提案するプロジェクトは、もしかしたらこの事業計画のこの部分なのかも」「であれば、RFPには記載されていないけれど、もしかしてこのような方向性が求められているのでは」と仮説・妄想が広がります。

「決算報告」と聞くと数字ニガテ意識が立ちはだかる方もいると思いますが、特に投資家向けのリレーションを強化している企業であれば、とても分かりやすい「決算説明会資料」を公開しています。数字から理解しようとしなくても、それらのスライドや説明会の動画から学べることも多いです。

その2:企画書は3ページ目までが命

さて、提案先の情報を学んだことで、具体的な企画が立ち上がってきます。
関係者でブレストしたり、会議室にカンヅメになってアイデア100本ノックに挑んだり、そして生まれたアイデアをどう書類に落とし込むか、いよいよ「伝える」部分の作業に入っていきます。

企画書の構成例(オレ流)

僕なりの標準的な企画書構成は、大枠では次のようなチャプター構成にすることが多いです。

  1. はじめに(提案に向けた所信表明、自社の紹介)
  2. コンセプト(この提案を表すキャッチコピー、そしてポエム的な提案サマリ)
  3. 提案の全体像
  4. (施策の詳細)
  5. スケジュールとバジェット
  6. Appendix

最初の3ページが重要です。
そしてディレクター/プランナーとして最もこだわるべきポイントは「コンセプト」。
この1ページが出来てしまえば、企画書の9割は完成する!

コンセプトが美しくなければ企画は破綻する

コンセプトのページでは、いまこの書類で提案しようとしている企画を、スライド1枚でバチッと表現するコピーを掲載します。
まるで交通広告のようにパッと見で「お!」って思わせられるかどうか、「これから聞く話は面白そうだぞ」とワクワク感を持っていただけるかどうか、企画への期待値はこのポエムにかかっています。

特にコンサル型の提案プロセスでは、そのあとの書類構成はロジカルに淡々と記述されていきますので、逆に書類の冒頭では「エモく」! 関係者の共感を得られるような導入部分が効果的だと考えています。

ここまで事前段階でしっかりとIR資料を読み込んだり、何度も企画ブレストを重ねてきたこと、すべてはこのコピーライティングのためのインプットだと言い切っても過言ではありません。もしコンセプトが美しい表現でまとめられないとしたら、きっとその企画は、どのように企画書で格好を繕ったとしても、面白くないのです。仮にコンセプトが不格好な状態でプロジェクトにGOサインが出てしまったとしても、キーとなる世界観が出来ていなければ、どのようにディレクションすればいいのでしょうか。ディレクターだからこそプランニングの段階でコンセプトを具現化すべし、です。

コピーライティング事例

これは自社案件での事例になりますが、数年前に企画から担当したMONSTER DIVEの「新卒採用サイト」です。

株式会社MONSTER DIVE 新卒採用サイト(2018年/クローズ済み)

参考 ... 株式会社MONSTER DIVE 新卒採用サイト(2018年度) ※このサイトはクローズ済みです。

「Web×映像のモノづくり」を手掛けるMONSTER DIVEが行う新卒採用とは、何を目指すべきなのか?
このときコンセプトとして掲げた言葉が『よいモノづくりは、はたらく仲間づくりから始まる』です。「よいモノづくり」とはMONSTER DIVEの行動指針(バリュー)のひとつでもありますが、採用においてどのような軸に共感してもらいたいのか、と考えたときに、デジタルの制作業務において、もうひとりで探求しても極めることができないくらい手法や技術は進化している今、僕たちとしては「チームプレー」であり「共に動くこと」にフォーカスしました。

それらの考えを「仲間づくり」という単語に集約できたと考えています。
たまたま集まった「同僚」ではなくて、こういう人と仕事をしたい!というお互いの意識があって「チーム」が作られて欲しい。今でもこの方針は変わっていませんが、まずこの言葉で整理できたことで、その後の求人ページを制作する指針になりました。

ちなみに、
MONSTER DIVEでは2024年度も新卒採用の募集を開始しています!
今年は「Webサイト制作・システム構築」「映像制作・ライブ配信」それぞれのチームでポジションがあります。
詳しくは採用ページをご参照ください!

その3:資料はシンプルに、センスよく

かつては僕自身も「企画書屋さん」「パワポ職人」として働いたこともあります。当時は華美な提案書類に仕上げることが美徳であり、はたまた、NYを舞台にしたアメリカのドラマで見るような"イーゼルやポスターを使ったプレゼンテーション"も経験しました。

今ではすっかり質素になりました。
書類のフォーマットは限りなくシンプルにまとめることが正解だと考えています。

デコラティブな書面、フリー素材を配置したような書類は極力つくりません。
企画のイメージを提案先に伝えるためにビジュアルが必要であれば、別紙でしっかりとアートワークを提案するべきです。また、Webクリエイティブであれば100のコトバで説明を書くよりもモックアップとして動くモノを見せたほうが、お互いに解像度の高い会話ができます。

既知の情報を小さい文字で詰め込んでページ枚数を分厚くするような作法も、近年では疎まれています。
米Amazon社では「パワポは禁止」「企画書はA4で1ページ」といった社内ルールがあるそうですが、同感です。「企画書を作る労力=コスト」が、最終的にはエンドクライアントさんの製品・サービス価格に内包されており、つまりは自分たちの提案にかかるコストはすべて消費者に転嫁されている!といったところまで考えるのはやり過ぎかもしれませんが、企画者側も適正なリソース配分を考えるべきでしょう。

企画書のレイアウト例

企画書レイアウトの例 ... 最近は装飾といっても文字の強弱で表現するようにしています。

まとめ

連載第2回として、今回は『ディレクター実践ノウハウ「企画書の作成」』をお届けしました。
まとめると、良い企画書をつくるためには、

  • 提案先についてしっかりと学習できているか?
  • 企画内容を美しいキャッチコピーとしてまとめられたか?
  • シンプルで読みやすい資料になったか?

これら3つのポイントが重要です。お役に立てば幸いです。


などと、偉そうに書きましたが、僕自身もふとすると、冗長気味な書類を作りがち、、、もしくはコンセプトの立案で満足して施策がペラッペラになりがち、、、書面のデザインにこだわって1日あっという間に過ぎちゃいがち、、、です。
ディレクターの本分はプロジェクトが始まってからのディレクション!
しっかり実務フェーズで本領を発揮できるように心がけたいですね。

それでは、連載の次回はまた1年後か!? 2年後か!? お楽しみに。

お知らせ

Webと映像のプロダクションカンパニー、株式会社MONSTER DIVEでは各職種にて中途採用(経験者採用)も積極募集中です。
今回の記事を読んで「あー、わかるわー」と共感してくださったディレクターのあなた!
もしかするとこれは素晴らしいご縁のはじまりかもしれません!!
詳しい求人票は採用ページからどうぞ

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