MONSTER DIVEではプロジェクト管理ツールに「Backlog」を全社で導入しています。
Webサイト制作や映像ライブ配信の工程管理からバックオフィス業務や採用活動の進捗管理まで、すべて「課題」にしてチーム内で情報を共有しています。
もう何年前になるか、社員数も10名程度だった頃から利用しています。当時「Redmine」などチケット型の仕組みも試しましたが、コメントの可読性、ひとつの課題に対するストーリーが読み取りやすい点から、圧倒的に使いやすいのがこの「Backlog」でした。もうこれ無しでは仕事は進められません、ありがとうヌーラボさん。
しかし、このプロジェクト管理ツールには大きな弊害があります。
課題には常に「担当者」と「期限日」をセットすることが不可欠です。
いつまでに・誰が・何をやるのか、その定義をできるだけ細かく設定して、ガントチャートで見たときには滝の流れのように情報が伝わっていく状態が理想です。
「担当」と「期限」。
毎日の仕事はこれに追われていく感覚を誰しもが持っているのではないでしょうか。
ともすれば、与えられた課題を"消化"する、炎上課題は"消火"する、そのような思考に陥りがちな点がプロジェクト管理ツールの弊害です。ファーストフードの店舗でいえば、次々とモニタに表示される注文をもとに淡々と焼いたり揚げたりしていく様子。もちろん、それで商売が出来ていることは素晴らしいビジネスが成立しているということなので、まったく完璧に正常な状態です。しかしながら僕たち、Webや映像を扱う制作会社で働くということは、それで充分なのだろうかとどうも疑問に感じます。
「ウチの会社が"ベンチャー"だというなら、それはどういうことなのだろうか?」
先日、たまたま社内でこのような会話がありました。
せっかくなのでこれは文章にしておこうと思って、このブログを書き始めたわけです。
その会話の折、最近しばしばそのようなテーマについて考える機会があったので、僕が用意していた言葉は次のようなものでした。
かつてリクルートさんでは、新人が「どうしたらいいですか?」と質問したとき、先輩の人が「で、どうしたいの?」と問い直すという習慣があったと聞きます(今もあるのかもしれません)。ベンチャー企業、またはベンチャー気質の強い企業で働くということ、それはこの問答に集約されるよなー、って感じています。
僕は大企業で働いたことはありませんが、大手の飲食チェーンでアルバイトしたことがあります。そこには創業以来の偉大な先人たちが、いつ・何を・誰がどうやればいいのか、ベストプラクティスを美しく示した「マニュアル」があり、勤務時間内にはその手順に沿って手を動かすことが「仕事」でした。
まぁそれは極端な話ですが、しかしながらきっと多くの立派な大企業は、マニュアル化されているかどうかに関わらず、「毎年この時期にはこの職種の人はこれをやる」「毎日あなたにはこれをやってもらいます」という決まりごとがあって、さらにいえばそれは研ぎ澄まされたものであり、考え直すべき頻度が少なくて、カイゼンは求められるが個人が抜本的に覆す必要はなく、ひとによっては定年退職までその「仕事」に取り組むことが「働く」ということなのかもしれません(僕の大企業への羨望かもしれませんが)。
僕のキャリアはインターネットの分野に限定的ではありますが、ベンチャー企業の創業に参加したり、創業期の企業にジョインしたり、そこで感じてきた「仕事」の定義とは、先に書いたように、「決まりごとのある仕事」とは真逆です。
格好良くいうと、仕事とは常に各自の「WILL」から始まるのがベンチャーのやり方だと思います。
話をプロジェクト管理ツールに戻すと、それは「課題を立てる側」であるということです。
「Backlog」で炎上している課題がなくなる、つまり目の前にある業務が片付いているとき、僕は安堵と同時にひどく焦燥感にかられます。あれ、これでもういいんだっけ、何か無かったっけ、という不安感です。きっと創業者や経営者のひとには、さらにもっと例えば「これで資金は足りてるんだっけ」というお金の心配、「あれでこの先うまく行くのか」という計画の心配もあると思うので、あくまで僕の立場ではもっぱら日々の業務の話になりますが、ToDoリストがクリアになると、「自分のアイデアが枯渇しているのでは?」「やるべきことが見えていないだけでは?」と不安になります。
「あなたには今日この仕事をやってもらいます」「そして明日はこの仕事ですよ」と指定されたほうが安心する人もいるでしょうが、僕はそのような働き方に憧れてこの職業を選んだわけではないので、とすれば、自分が次にやることは自分で考えて、課題化して、進める必要があります。
課題といっても粒度は様々です。MONSTER DIVEでいえば、代表は最も大きなスケールの「課題」を立てるでしょう。役員・事業部長がそれを現実にするための道筋を「課題」にして、さらにマネージャーが各自のチームのなかで実現方法を「課題」にします。ディレクターやデザイナー、エンジニアはそれをどう表すのか各自の得意分野で「課題」をつくりつつ、逆に現場のほうから話の発端まで遡るような提案や疑問提起もあるでしょう。営業職やコーポレート部門も同様に、示された大きな枠組みのなかで次に何をするべきか、いくつもの「課題」がそこにあるはずです。
先日たまたまTwitterのタイムラインで(かなり昔のものですが)以下の記事をお見かけしました。GREE創業者の田中さんの言葉ですが、
あるとき総務が「ゴミが落ちていたけど。田中さんどうしましょう」と言ってきたんです。
で、僕は「別にいいよ」と。ゴミが落ちていることもあるじゃないかと言いました。
「ただ、そのゴミを放置しているなら君の部署で明日パソコンを持ち逃げされても、"この会社はゴミを落とさないルールすら守れていない会社なんでしょ?だったらパソコンぐらいいいじゃないですか"と、いつか言われるよ?」と話しました。
「GLOBIS知見録」https://globis.jp/article/2348
抜粋の引用で恐縮です。これはコンプライアンスに関する文脈での発言のようですが、僕はこれこそが「課題を立てる側」の意識そのものだと感じました。
僕がMONSTER DIVEに参加させてもらって11年、今では社員数は35名になりました。
この規模になるといろいろなタイプのメンバーがいますし、そうあるべきですし、もっといろいろな人がいたほうが面白いです。脇目もふらず目の前の課題を黙々とこなし続ける鉄人的なヒーローもいます。ただ、決して1千人・1万人の大企業ではないし、モノづくりをやりたい!というひとが集まった企業である以上、大多数のメンバーは「次は何をやろうか」と課題を「立てる側」の人であってほしいなと僕個人は思っています。僕はそのような人と仕事をしていきたいし、採用担当としてはそのような意識を持っている人を、今、たくさんお迎えしたいと考えています。
ということで、採用情報はこちらです。
https://www.monster-dive.com/job/
Wantedlyにも求人を掲載しています。
https://www.wantedly.com/companies/monsterdive
以上、焦げくさく燃えている自分の課題たちを見つめながら、昼休みに現実逃避のように急に思い立ってブログを書いちゃった採用担当でした! さあ、業務に戻ります!w