Webディレクターの仕事といえば「制作進行管理」、「Webサイトの企画立案」という業務内容がメインのようなイメージをするかと思います。これらの業務を進める上で、切っても切り離せない作業、それは「資料作成」です。
作成する資料としては、
など、Webサイト制作工程の中で必要な資料もありますが、Webサイトの構築後に、記事登録や設定変更等をまとめた「マニュアル」なども、実は作成することも多い成果物の1つです。
そんな資料作成の中で「マニュアル」を例に挙げて、私が資料作成をする上で大切だと思っていることをお伝えします!
マニュアルを作成する場合、マニュアルを作る人=そのサービス、システムをよく理解している人(例:制作者やディレクターなどの有識者)がほとんどかと思います。
何度もそのサービス、システムの画面を触って、見慣れている人であれば、「この処理は当たり前だから記載を飛ばそう」、「こんなの書かなくたって分かるだろう」と思い、部分的に操作を省いてしまう...なんてことがよくあります。
省きがちな操作といえば
などが例として挙げられます。
これらは、製作者や、何度も利用している人からすれば「当たり前」の作業ですが、このような「当たり前」という判断はあくまで作成者の主観となります。
マニュアルを使う時に最も重要なこと、
それは
「誰のために作るのか」ということです。
マニュアルを利用する人のほとんどは「そのサービス、システムを初めて使う人」、もしくは「操作に慣れていない人」です。
そのため、サービスやシステムを起動またはアクセスするところから、利用したサービス、システムが閉じるところまでの「どのように始めて、どう終わるのか」までをしっかりと記載があることが大事です。
初めて使った人からしたら、何をどう使ったらいいのか、どうやったら終わりなのか分からないことだらけです。
昔、聞いたことがありますが、
PCの動きが悪いので、使い方をサポートセンターに電話したユーザに対して、PCを再起動させて動作を確認して欲しい場合に、
「(電源を)落としてみてください」と伝えたら、
PCを落とした(物理的に)。
というケースや、
マニュアルに「アイコンを押す」と書いてあったので、
画面上のアイコンを指で押したが何も動かない。
というような問い合わせもよくあったようです。
作り話のように思えますが、このレベルの話は、結構、リアルにあるようです。
この2つの例は、
「言葉足らず」
もしくは
「他の操作を想像できる言葉」
であることが共通点として挙げられます。
これらの例としては極端な例ではありましたが、記載する言葉や伝える言葉は、受け取り手側と認識のずれがないように伝えてあげることが大事です。
また、記載する文言にばらつきがあると、「さっきのページにはこういうふうに書いてあったけど、このページでは書き方が少し違うな?何か違うのかな?」というようなユーザの混乱を招いてしまうこともあります。
先ほどの2つ目の例に対しては「アイコンをクリックする」という記載方法が、ページによっては「押下する」、「クリックする」などばらつきがないように、1つの言い方に統一することでユーザとしても理解しやすい内容となります。
「ですます調」にするのか、「である調」にするのかなどの統一も大事です。
「制作者目線で作られていないか」を確認する一番効果的な方法は、プロジェクトメンバー以外の人にそのマニュアルを読んでもらいながら、記載されている操作を一通りできるか? 不足している部分はないか? を確認してもらうのが最も効果的です。
さらに精度の高いマニュアルを作るためには、本番公開・本番運用開始の前に、一般公開されているのであれば知人に、お客様限定のサービス、システムであれば、お客様に依頼し、業務担当者の方に一通り確認してもらうことが望ましいです。
マニュアル作成後の確認以外にも、マニュアルの精度を高める方法として、マニュアルに記載したい一連の作業に関しての最低限のメモを有識者が作成し、そのメモを見ながら「マニュアル作成対象物を初めて触る」他の業務メンバーがマニュアル作成を行う、という方法があります。
この方法をとることで、有識者以外の人がマニュアルを作成することで、有識者では気付くことができない観点の発見があり、「ユーザ目線」でのマニュアルを作ることができます。
もちろん、この方法を行う場合には、作成時に不明点や気になる点を聞きながら進めてもらうこと、作成したマニュアルについては、有識者であるプロジェクトメンバーに見てもらうことが大前提です。
こういった作成方法や、確認を経て、よりユーザに寄り添った親切なマニュアルに一歩ずつ近づいてい来ます。
お客様への説明資料やマニュアルなどを作成する際に、私が大事にしている言葉があります。
まだ新入社員で右も左も分からない頃に先輩から言われた
「お前のお父さんとお母さんでも理解できるよう作りなさい」という言葉
自分のお父さん、お母さん=PCの知識も薄い、全くの素人
こういった資料作り以外でも、どんなことであっても大事になることは、「ユーザ目線」でやるということです。
制作側に立つとユーザの気持ちなどを忘れがちになってしまうこともありますが、 資料作成に限らず、「ユーザ目線」を忘れないことが、何よりも良いサービス、良いサイト制作への第一歩になるかと思います。
「初心忘るべからず」ですね!!