2016年11月にリニューアルされ、Webサイトを簡単に作成することができるサービスと知られている「Google Sites」(G Sites)。
今回は実際にプロジェクトで利用した例をご紹介します。
Google Sitesは、いわゆるWebサイトの制作用途で使用されるのが一般的かと思っていましたが、企業によっては例えば社内共有ツールとして利用している場合もあるとか。
今回、私はWebサイトの「デザインシステム」を掲示する場としてGoogle Sitesを利用しました。
「デザインシステム」とは、いわゆる定義書。デザインルールの統一化を目的としたものですね。
私は定義書というものは「作り上げたらあまり手を入れたらいけない! 書類納品して完了だ!」と思っていたのですが、デザインシステムという役割は、その「書類」という概念をより柔軟で論理的にしたものだと知りました。
どんなときに役立つかというと、例えば、
といった状況、よくありますね。その結果、運用が煩雑になり、自社サイトの顔となるメインビジュアルですらトーンが揃っていない、サイズが合っておらず画像の端が切れる、画像解像度が低いなどなど、残念な状況に陥ったりします。
それって、せっかく最初にかっこいいサイトを作ったとしても、結果、美しくないと思うんです。
運用フェーズにおいては多くの人が更新・編集に参加するケースが多いので、考慮が必要です。
そこで必要となるのが、デザインのルール定義を明確にする「デザインシステム」。
いわゆる定義書は「必要に応じて参照される」ものですが、デザインシステムは更新運用の実務に活用できるよう、Webサイトのデザインの考え方そのものを説明しつつ、現実に適したかたちでアップデートされていくべきものなのです。
ブラウザベースで更新ができる「Google Sites」なら、その更新もリアルタイムで柔軟に可能。
デザインシステムを初期制作するプロダクション側にとっての利便性だけでなく、Webサイトを運用するクライアント企業にとっても、デザインのルールを周知・維持しながら、運用フェーズで新たな装飾や機能の追加も積極的に行うことができるという利点があります。
その利点を具体的にご紹介します。
例えば、Home画面には、そのデザインのルールに関する共通認識を置きます。
このデザインシステムの利用目的、つまり「なぜデザインシステムを作ったのか」という内容を、1ページ目に設けることで、利用するメンバーに認識確認・共有を促すことができます。
また、Google Sitesでは、メンバーに編集権限があれば常にファイルの更新が可能です。
新しくページが増えた、運用ルールを変更する、フォーマットが変わった、などWbサイトに変更があった場合に、対象のURLを送るだけで社内共有・編集共有ができるのは便利です。
ルールを明示する上で、視覚的なわかりやすさはとても重要です。
例えば、
など、テキストだけではなく実物のWebサイトのキャプチャ画像を差し込むことで、Webサイトのどこを示したルールなのかをわかりやすい見た目で作成することができます。下図のような形にすることで、文章で示すだけよりも、明確に共通認識を持つことができると思います。
ソースコードだけを教えられて「これで更新・運用してください!」と申し送りされても、初めて運用する方たちにはとてもわかりにくいものだと思います。
実際に頻繁に変更が必要と考えられる部分については、キャプチャ画像とコードサンプルをセットで見本として掲載することで、親切かつわかりやすいものになります。
Google Sitesは画面内にコードを埋め込むことができるので、こういった利用シーンに向いていると思います。
Webサイトを制作する際には、デザインのルールだけでなく、ウェブアクセシビリティへの対応方針などもデザインシステムとしてページを作成して、チーム内で共有・更新していくことも大事だと思います。また、目標を設定してその経過や達成を明示すると尚良です。
事実、ウェブアクセシビリティはそのガイドラインも変化していくものですし、Webサイトを運用するにあたり、より良い状態を目指していくことが重要だと思います。
このように、常に更新しながら共有出来るツールだからこそ、目標を共有できるページを作成するのはいいことですよね。
簡単にWebサイトが作れるサービスと思いきや、実際に作ってみると、色んな発見ができますね。
「デザイナーさんがここにこだわっていたんだ!」という点に気づくことができたり、コーダーさんが運用しやすいように裏側を設計してくれていることに気づいたり。
ルールや目標を設定することで、Webサイトの改善点も明確になり、工程全体を見直す良いキッカケになると思います。
今回挙げたデザインシステムでの利用例だけでなく、Google Sitesには、もっと良い活用方法があるかもしれません!